ウェブログ先行研究(4)

今日は地理学の観点からみた先行研究の紹介です。
 地理学の分野ではウェブログあるいはウェブ日記をとりあげた研究はみられないが,ウェブページをとりあげた研究については欧米を中心に散見される。Zook(2000)はドメインの登録住所を指標としてウェブページの分布を解明し,それらが都市とりわけ都心部に集中していることを明らかにした。また,Shiode and Dodge(1999)は(整理中)。Dodge(2000)は(整理中)。さらに,ウェブページを結ぶハイパーリンクに着目してウェブページ間の結合関係を解明しようという研究もある。Dodge and Kitchin(2001)はハイパーリンクを通じたウェブページの結合構造を現実の地理的空間とは無関係の仮想空間の中の図として表現している。Park, Barnett and Nam(2002)は韓国の企業が運営するウェブサイト間の結合関係をハイパーリンク構造とアクセス数,情報の信頼性の観点から分析し,それらの要素間に強い関連があることを指摘した。和田(2005)はハイパーリンクの持つ意味に着目し,その種類によってウェブサイトの登録住所間の地域的結合関係に差異がみられることを明らかにし,ハイパーリンクには電脳空間の中での情報収集を主眼とする「コンテンツ重視型」と実在空間における結合関係と関わりを持つ「コミュニティ重視型」があるとした。
 こうした,いわば発信者間の結合関係の分析に対して,発信者と閲覧者の結合関係を分析する手法も提案されている。Dodge(1998)はインターネットへの接続時の時間差を指標として電脳空間上の仮想的距離を計測する手法を提案し,Murnion and Heary(1998)およびMurnion(2000)はこれを応用して,英国の大学ウェブサイトを事例として,ウェブへのアクセス頻度が接続時間の遅れが長くなるにしたがって減少することを示した。
 こうしたウェブページに関わる地理学の研究手法のいくつかはウェブログの研究にも応用できるだろう。たとえば,ウェブログの登録住所や作者の居住地を指標にすればウェブページの分布を知ることができるし,ハイパーリンクに加えてウェブログ特有の機能であるコメントやトラックバックをたどっていくことによってウェブログ間(作者と作者)あるいは作者と読者の結合関係を可視化することができると考えられる。
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