相互作用の舞台演出(11)

1日おいて再び「創発まちづくり」の続きです。今日は「事務局」のあり方について。

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事務局−創発まちづくりの磁場
 相互作用の場(舞台)は,相互作用の演出家がその企画を立案・調整することによって成立するが,それを継続させたり,拡充させたりするためには,「事務局」を置くことも必要になってくる。事務局は演出家自らが務める場合もあれば,演出家が事務局をつくり,育て,支えていく場合もある。前者のパターンは氏原の活動,後者のパターンは吉原や私の活動に顕著にみられる。
 まず,氏原の活動を通じて,演出家自身が事務局を務めるケースについてみていこう。
 ●氏原:私は事務局的な人間だとつくづく思う。「里山あーと村」の活動を通じて,私は「私がコーディネーターだ!」なんて言わないで,事務局として事務的な作業を徹底的に支援したり,時には無理やり引っ張る瞬間があったりした。
 ●氏原:根本となるコンセプトはきちんと持っている。それは事務局一人が持っていればいいと言えるかもしれない。
 ●氏原:メンバーに方向性を示してあげることも必要だ。そういう意味では事務局と名乗っているだけなのかもしれない。
 ●氏原:私にとって,事務局とは人と場所,人と人,人と素材を結びつける役割を果たすことだ。
 氏原は,広島市役所から「里山あーと村」のコーディネート活動を業務として依頼され,事務局の一員として活動に取り組んでいる。その中で,「私がコーディネーターだ!」と宣言しないことが特徴的である。「私がコーディネーターだ!」と宣言することで,住民たちを上から見るような態度になるケースが多くみられるが,氏原は住民たちと同じ視線で,さらに言えば住民とともに汗を流す一員として活動に従事している。しかし,ただ従事するというわけでなく,実質的なコーディネーターとしてコンセプトをきちんと持ち,時にはそれをもとにメンバーに方向性を提示したり,活動そのものを牽引したりする場面も多い。また,そのコンセプトを基本としつつ,人と場所,人と人,人と素材を結びつけ,具体的な活動を誘発する役割を果たしている。なお,ここでいう素材とは,まちづくりのテーマや資源であり,例えば特産品をつくろうというアイデアやその原材料であったりする。そういう意味で,氏原は確かに「事務局を名乗っているだけ」なのだろう。

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