相互作用の舞台演出(12)

今日はまちづくりの「事務局論(その2)」です。

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 次に,仕掛人が事務局をつくり,育て,支援するという後者のパターンについてみていこう。
 ●吉原:氏原さんのように,そこに入りこんで事務局をやるというよりは,もう一歩引いた感じで,「あなたは事務局が適任です」と言って,事務局をつくっちゃう。「事務局はこうあるべきだ」とアドバイスすることもあるだろう。事務局は地元の人でないとできないと考えている。
 ●和田:事務局に適任の人を探し出すことは大変だ。業務を通じて,そのような人を一人でも見つけることができれば,その業務は7〜8割成功したと言ってもいいだろう。
 ●吉原:事務局が頼りないと,周りが自然にサポートしようという状況になってくることもある。ただ,結果的に事務局に人が集まってくれば,それはそれでいいことだと思う。
 ●牛来:人を巻き込める(巻き込まれたと思わせる)人は事務局として適任だと思う。
 吉原や私は,行政から委託された業務を通じて,相互作用の場(舞台)をつくり,具体的活動を誘発させるための活動を実施する。多くの場合,その業務期間は1〜2年であり,その間に少なくとも相互作用の場をつくり,具体的活動の芽を出すことが必要である。しかし,業務期間が終了すれば,表立ってその地域に関わることがなくなるわけで,どこかで上手に引かなければならない。その時,せっかくつくった場を継続したり,せっかく生まれた活動の芽を育てていくためには,それを支える事務局が必要になってくるわけで,私たちは業務期間中に事務局の立ち上げを想定しておく必要がある。
 その際,誰が事務局を務めるべきかが大きな問題となる。すべてのまちに氏原のようなマルチな事務局がいるとは限らないし,むしろそのような人は希有な存在であるといえよう。その中で,吉原や牛来が言うように,人に好かれ,人が集まってくるような性格であることは,事務局として最低限必要なことだと言えるだろう。いずれにしても,性急に事務局を確保するのでなく,長い目でみて事務局にふさわしいと思われる人を見いだし,仕掛人と住民たちが一緒になってその事務局を育てていくような感覚が必要だと言えるだろう。

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