相互作用の舞台演出(18)

創発まちづくり」のボツ原稿の掲載,今日が最終日です。最後は行政の自由化と官民融合について。ちなみに本日登場する重徳さんは行政マンです。

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 こうした行政の実態を打破するため,重徳は次のような行政自由化運動を展開しようとしている。
 ●重徳:僕は「みんなもっと自由になろうよ」という運動を行政関係者の中で展開してきたいと考えている。僕は幹部職員がブログを作成し,自分の想いを公開することを提案しようと考えている。「変なことを書けば県民から批判メールが来る」という慎重論が目に浮かぶ。しかし,それではダメだと思う。そうした人間味を出していくことが大切だと思う。
 組織内外のしがらみや上司の目,外部評価の目などを気にするだけでなく,行政職員も自分自身の考えを大切にし,それを発信する習慣をつくり,新しい行政風土としていこうというのである。その具体的アイデアがブログ(インターネット上に公開する個人の日記)なのである。ブログを通じて,どういう人間が行政組織を構成しているのか,何をやりたいのか,どういう想いでやっているか,どんな顔をしているか,どんな経歴を持っているかなどがわかり,住民と行政が社会的(インター・パーソナル interpersonal)な関係を構築することで,住民と行政の実質的な相互作用が期待できる。
 重徳さんは,住民と行政の相互関係について,次のように考えている。
 ●重徳:「行政経営品質」の考え方を踏まえ,役所が勝手に何かをやるのでなく,住民や事業者,NPOなどさまざまな立場の人と一緒にやっていこうというスタンスで取り組んでいこうとしている。官民連携という言葉は好きではない。官と民を壁で隔てて無理やりくっつけているような感じがするからだ。むしろ官民融合だと思う。民に受け入れられるような官にならないといけない。
 ここでいう「官民融合」とは,当然のことながら行政と民間の癒着を言うものでなく,それぞれの想いと能力を持った行政と民間が実質的な相互作用の場(舞台)を共有し,新たな価値観やアイデアを創造したり,具体的活動を誘発したりする手段として位置づけられるものである。