情報地理の研究動向(4)

一昨日に続いて、情報地理に関する研究のレビューです。今日は4回目。

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社会的ネットワークの変化については,情報通信技術とくにインターネットの発展により局地的な社会運動が国境を越えて展開されるようになった事例研究や,情報通信技術を介したコミュニケーションとローカルな社会的ネットワークについて論じた研究がみられる。前者について,たとえば,Floeling(1997)はメキシコのマヤ=インディアンのザパチスタ事件をとりあげ,権力や資金に乏しいマイノリティがインターネットを利用して国際的に情報を発信できることを実証した。またOユlear(1997)は,ロシアとエストニアの国境に位置する湖沼の環境問題に関わるNGO活動をとりあげ,電子メールを利用して国境を越えた共同活動を展開していることを紹介した。後者について,岡本(2000)は,社会的ネットワークの網は特定の時間に特定の場所に住む人々の特定の結びつきによって紡がれており,情報化時代にあっても極めて地理的であるとし,対面接触によるコミュニケーションは信頼関係の醸成に貢献しているとした。
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