ネットワークと居場所

増田・今野(2006):『複雑ネットワークとは何か』講談社と、増田(2007):『私たちはどうつながっているのか−ネットワークの科学を応用する』中公新書を読んでいます。両書ともほぼ同様の内容で、対人関係などを社会的ネットワークや複雑ネットワークの視点から読み解こうとするものです。そこで強調されているのが「スケールフリー」と「スモールネットワーク」。いずれもネットワークの「形」「トポロジー」に関するものです。特に私が感心を持ったのは「スモールネットワーク」。一般に、インターネットでいつでも誰とでもつながれることが強調されますが、やはり人間は居場所=安心を求めるもの。それがランダムにつながるネットワークでなく、安心できる居場所=ムラ=グループ=組織を求め、小さな塊を形づくる。それが現実世界の地域とリンクすれば、地域に密着したスモールネットワークができるし、組織や趣味などとリンクすればそうした機縁的スモールネットワークが形成される。そして何より、ランダムネットワークに耐えられる能力と自立性を持った人間は一握りなのだと。そうだよなあ、一人でいろいろな人とつながりながら仕事をするのは面白いけれど、どこかで安心が欲しくなるのも事実だよなあと妙に共感してしまいました。
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