相互作用の舞台演出(6)

昨日の続きです。

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 「居心地のよい場」をつくるために,どのような姿勢で場をつくり,場に関わっていくことが求められるか考えていく必要がある。これについても,各執筆者の発言をみていこう。
 ●松波−川名さんの話を聞いていると「何でこんなに楽しんだろう」と感じる。そうした思いを参加者に持たせること,感じさせることは大切だ。
 ●牛来−私が意図的に参加者に「あっちを向け,こっちを向け!」と言うことはなく,純粋な交流の場であったり,人がつながる場であったり,企業とSOHOがつながる場をつくっている。また,人肌の感覚を保つために,私は参加者と同じ目線でただいるだけである。
 ●吉原−やりたいことをやっているだけでは進まない。それをゆるやかにつなぐことが必要だ。あなたたちがどういう立場にいて,まちの活性化の中でどんな役割があるかわかっていない人が多い。それを整理してあげると,行政から見る形は分かりやすくなるし,自分たちも自分たちの活動の再確認や新たな動機づけになる。 
 ●氏原−吉原さんは行政コンサルを上手にやっているなと思う。
 ●松波−ファシリテーターの中には自分がしゃべりすぎる人も中にはいるよなぁ。そういう熱いファシリテーターがいると,参加者は冷めてしまう。
 川名の姿勢に対する松波の評価は,参加の動機づけや場の雰囲気づくりという点でとても重要である。居心地がよいことの一つの要件は「楽しい」ことなのである。これは,想いが一致するので楽しい,やりたいことができて楽しいという以前に,何かワクワクするという期待を感じられるという楽しさだと言えるだろう。
 また,相互作用の場に対する牛来の関わり方はとても自然体である。「参加者と同じ目線でただいる」ことで,参加者も思い思いに他の参加者と会話を交わすことが可能となっている。これに対し,吉原の関わり方は,どちらかというと意図的であり,戦略的である。しかし,それは何か決まった事業について参加者を巻き込みながら意図的・戦略的に推進しようというのでなく,相互作用を通じたそれぞれがやりたいことをさらに充実させたり,具体的活動を新たに誘発したりしていくための場づくりを意図的・戦略的に推進しようとしているものである。ただし,松波が指摘するように,意図的・戦略的に場をつくろうとする人が前面に出過ぎたり,熱くなりすぎると,「居心地のよい」場の雰囲気は崩れ,「創発」性を持たなくなってくる。
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