相互作用の舞台演出(8)

昨日の続きです。今日は「人を巻き込む力」について。

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 相互作用による具体的活動の誘発が活発であるためには,相互作用の質が高いことと併せて,相互作用の量が絶対的多いことも必要な要件である。そのために,相互作用の演出家は,より多くの数の人が関わることができる場をつくることが必要であり,「居心地のよい」場づくりに努めるとともに,時にはそれまで関わっていなかった人に対する働きかけを行う必要も出てくる。
 ●牛来:「人を巻き込む力」はとても大切だと思う。そこがなかなかできないから難しい。
 ●松波:人を巻き込もうと思うと,温度が高くなって,人肌ではなくなってしまう。巻き込まれたと思いながら,いつの間にか巻き込んでいるという工夫が必要だと思う。つまり,相手方は自分が巻き込んだと思っているが,実は当方が上手に巻き込んだんだと言える工夫が求められる。
 これは他者に対する働きかけに関する牛来と松波の会話である。相互作用の量を拡大するために,より多くの人に関わってもらおうとする時,相互作用の演出家の立場からみると「人を巻き込む」ことに間違いないが,関わろうという人の自発性を尊重し,その想いや能力がより活かされるようにするためには,上手に「巻き込まれる(ように見せる)力」が必要だということである。多くの人の参加を得ようとすると,このような関わり方は一つひとつ(一人ひとり)に手間がかかり,効率的ではないが,「相互作用」「創発」という観点からみれば,このような手間暇をかけた働きかけが実は効果的なのだ。「急がば回れ」ということだろう。

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