相互作用の舞台演出(15)

再び,創発・・・のボツ原稿の続きです。今日も先週金曜日に続き,誘発された活動を刺激する方法について。

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 刺激の対象が学生から社会人に変わると,当然ながら刺激の方法も変化する。川名の刺激方法と比べると,参加者と同じ目線で,時には参加者に依存しながら,刺激し続けていることが特徴的である。
 ●牛来:年に1回程度は熱くなることも必要。一方で,上手に他人に委ねることも必要だと思う。
 ●氏原:「自分が中心になって活動できないけれど,誰かがやるんだったら一緒にやってみたい。」という人と一緒に3年も5年も活動していたりすると,その人は「これは自分の事業だ」と言い始める。そういうことをしているように思う。
 ●吉原:市民はさまざまな努力をしたわけだが,それらを次につなげるための整理を意識的にやった。それによって,市民はやりたいことをやっているだけでなく,他の活動との関連が見えたり,協働事業に発展したりした。
 牛来の刺激は,演出家自身が状況とタイミングを見ながら自分自身のモチベーションを高め,他のメンバーを積極的に牽引したり,鼓舞したりする方法がとられる一方,時には頼りなさを演出しながら他のメンバーに作業を委ねることで,他のメンバーの自主性を引き出し,ノウハウを身につける機会を提供している。状況とタイミングを見ながら,オンとオフの2つの方法で効果的にメンバーを刺激し続けている。
 氏原の刺激は,とにかく一緒に汗をかき続けることに尽きるだろう。一緒に汗をかき続ける過程で,メンバーの自信を引き出し,さらにいろいろな人や場所,素材と結びつけたり,時には方向性を明示したりすることによって,人や活動を継続的に刺激し,活動の充実につながっている。
 吉原の刺激は,さまざまな人や組織,活動を相互に関連づけ,説明することによって,メンバーが自らの“位置”を確認し,活動の方向性を見いだしたり,他のメンバーとの協働を誘発する方法である。氏原の刺激と比べると,一歩引いた形の刺激ではあるが,活動の芽がある程度育ってきた段階では必要な刺激方法であると言えよう。

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