アニメーション・今年のまとめ2

昨日の続きです。

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2 広島とアニメーション
(1) 広島国際アニメーションフェスティバル
 広島とアニメーションの関わりは1985年の第1回広島国際アニメーションフェスティバル(以下,フェスティバル)を嚆矢としている。開催のきっかけは,1984年9月,国際アニメーションフィルム協会(以下,ASIFA)が広島市に対して,国際アニメーションフェスティバルの開催を正式に要請したことである。ASIFAはアニメーション芸術の振興と国際的な友好親善を目的として1960年にヨーロッパを中心に設立された国際文化団体である。1984年当時,アヌシー(フランス)とザグレブクロアチア),オタワ(カナダ)で開催されるアニメーション映画祭を公認しており,新たにアジア地域での公認映画祭の開催を検討していた。国際平和文化都市をめざす広島市はASIFAの提案を受け入れ,被爆40周年にあたる1985年8月に第1回フェスティバルを開催した。
 フェスティバルは1985年から2年に1回開催されており,世界各国・地域から応募された短編アニメーション作品を一般公開形式で審査し,グランプリなどの優秀作品を選ぶコンペティションのほか,国内外の著名なアニメーション作家の作品や子ども向けの作品などを上映する特別プログラム,展示会,ワークショップ,プレゼンテーションなどが行われている。コンペティションへの応募作品数は年々増え,2006年8月の第11回大会では世界の4大国際アニメーション映画祭で最多の1,764本になり,入場者数も第1回大会の2倍以上の約3万人に達するまでになった。

(2) 広島アニメーションビエンナーレ
 広島アニメーションビエンナーレ(以下,ビエンナーレ)は,1997年に発足した「大型集客装置研究会」にその始まりを求めることができる 。この研究会ではアニメーションをテーマとしたテーマパーク「アニメーションワールドジャパン(AWJ)」の建設が議論され,1999年3月には広島経済同友会都市機能委員会が広島経済同友会の提言として位置づけた。その後,建設可能性を探る調査が行われたが,当時の経営情勢等からテーマパークの建設は断念された。その後,2003年12月の広島経済同友会都市機能委員会と文化問題委員会の合同委員会でアニメーションをテーマとしたイベント開催が提案され,2004年からフェスティバル開催の年に併せてビエンナーレに取り組むこととなった。
 ビエンナーレの開催に向け,広島経済同友会は会員企業から出資を募り,総額1億550万円の拠出を受け,2004年3月にその推進母体となる有限責任中間法人広島経済同友会アニメーションビエンナーレ基金(以下,ビエンナーレ基金)を設立した。ビエンナーレビエンナーレ基金を中心とする実行委員会によって運営されることになり,2004年7月から9月まで第1回となる「広島アニメーションビエンナーレ2004」が開催された。2004年は「夏休み 広島でアニメーションする!」をテーマに展示会やコンサートなど4つのイベントが開催され,20あまりの協賛イベントと併せて約30万人が来場した。また,これらのイベント開催を通じて,アニメーションを広島の文化として盛り上げようとする市民団体「Habyクラブ 」も誕生した。2006年は「広島は,まちじゅう,アニメーション」をテーマに,アニメーション制作会社と提携した展示会 のほか,60あまりの協賛イベントが市内各地で開催され,延べ約40万人を集客した。