アニメーション・今年のまとめ4

昨日の続きです。

                            • -

3 「ポール・イマージュ・広島」の取組み
(1) 広島アジア・アニメーション創発プロジェクト
 「ポール・イマージュ・広島」は,2005年度の調査結果を踏まえ,2006年度から「広島アジア・アニメーション創発プロジェクト(以下,創発プロジェクト)」に取り組んでいる。この事業はアニメーション産業の育成と集客交流サービス事業を実施することにより,広島市民や中小企業の参加と連携,通年にわたる集客交流の促進,アニメーション産業および関連ビジネスの創出という3つの課題を解決しようとするものである。さらに,これらの事業間の相互作用を仕掛けることで,新規ビジネスの創出やそれらの担い手となる多様な人材の育成など,新しいアイデアや具体的事業を創発的に引き起こしていこうとしている。言い替えれば,アニメーションを始めとする広島の芸術・文化(Image)を発信し,それらの振興を図るとともに,それらに関わる多様な人々や事業間の相互作用(Interaction)を通じて,芸術・文化の蓄積をベースとして新しい商品やサービスを創り出し(Branding),広島市内や広島県内はもとより全国さらにアジアを中心とする海外からの集客を促進し,にぎわい(Tourism)を創出することを目的としている。こうした「創る(Image)×繋がる(Interaction)÷生み出す(Branding)=集まる(Tourism)」の方程式を通じて,広島市民や来訪者にアニメーション等に対する理解と関心を高めるとともに,アニメーション等に関わる人材を育成することをめざしている。
 これらを実現するため,長期的には次の5つの柱にもとづく事業を推進しようとしている。第一はアニメーションをテーマとした参加・交流である。具体的に市民参加型イベントやメディア関係者等が協力した啓発事業を想定している。第二は情報発信の強化による集客交流の促進である。具体的にインターネットを介した情報発信事業を想定している。第三はアニメーション等コンテンツを活用したビジネス展開であり,具体的にコンテンツを活用した経済取引機会の創出に取り組もうとしている。第四はアニメーションによる都市演出であり,アニメーションを楽しむ都市空間づくりを通じて,来訪者が回遊できるシステムを開発しようと構想している。第五はアニメーション等に関わる拠点づくりであり,それを核とした人材育成や通年集客を図ろうとしている。
 これらの事業は,芸術・文化の振興をめざすフェスティバルに対して,産業・観光面から広島のアニメーションを支援・牽引することに独自性がある。また,ビエンナーレとは産業振興および集客交流という目的を同じくするが,開催期間や開催場所が限定されるビエンナーレに対して,これらの事業は通年化および常設化,オンライン化を図ることにより,産業育成および集客交流の効果をさらに高める役割を持つ。さらに,事業主体についてみると,地場有力企業が構成するビエンナーレ基金に対し,「ポール・イマージュ・広島」はアニメーション等に関わる市民やNPO教育機関,クリエイター,SOHOなどが幅広く参加し,ボトムアップ形式で事業を推進することに独自性がある。すなわち,行政中心のフェスティバル,有力企業主導のビエンナーレに対し,「ポール・イマージュ・広島」は幅広い主体の参加を得て「アニメーションのまち・広島」を実現しようとしている。