研究計画その2

昨日の続きです。

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私はこれまでメーリングリスト(以下,ML)とウェブサイト,電子掲示板,オンラインゲームをとりあげ,それらを介して展開されるサイバースペース上のコミュニケーションの特徴,それらのリアルスペースとの相互関係について研究してきた。MLについては,鳥取県と瀬戸内海周辺地域を対象とする2つMLの事例研究を通じて,MLを介したコミュニケーションは利用者の関心やリアルスペースでの行動に基づいて展開されることを解明した。ウェブサイトについては,瀬戸内しまなみ海道周辺地域を登録住所とするウェブサイトを事例として,ハイパーリンクを通じた地域間結合の実態を分析し,サイバースペース上での情報収集を主眼とする「コンテンツ重視型」リンクとリアルスペースでの対面接触とのかかわりを持つ「コミュニケーション重視型」リンクがあることを明らかにした。電子掲示板については,広島市牛田地区と山陰地域を対象とする地域特定型電子掲示板を事例とし,地域情報の投稿を主眼とする前者の例ではサイバースペース上に一つの都市像が描かれ,オフラインミーティングの開催を主眼とする後者の例では投稿を通じて新たな対人関係が形成されることを明らかにした。オンラインゲームについては,広島市に本社をおくラジオ局が運営するオンラインゲームを事例にとりあげ,それが利用者にとって新たな居場所となっており,それをめぐるコミュニケーションがゲーム内,ゲーム外のサイバースペース,リアルスペースの3つの空間で展開されることを解明した。また現在,ウェブログを介したコミュニケーションについて,トラックバックとコメント機能に着目し,作者間および作者と読者の結合関係について地理的な分析を試みており,日本地理学会2006年度秋季学術大会情報地理研究グループで中間報告を行った。